「人間としての教皇」 おすすめ度:
投稿日:2006-03-11
歴代ローマ教皇の死因や当時の医学状況などについて述べられている本。教皇といえども人間である以上病気・死からは逃れられない。ここに書かれているのは権力を恣にし、神聖な存在として民衆に崇め奉られた存在ではなく一人の人間としての教皇の姿であり、大変興味深く読めた。自分は「女教皇ヨハンナ伝説」「コロンブスの年の輸血」の章が特に面白いと思った。
「つらい職業」 おすすめ度:
投稿日:2005-11-14
著者は神経内科を専門とする医師だが、余技として歴史上の人物の病気について研究している。本書はローマ教皇の病気や死因についてさまざまな側面から語ったもの。
「検死録」とはいうものの、特定の教皇を取り上げて、死の原因を詳しく診断するわけではない。暗殺の疑いを述べたり、ローマに多いマラリアについて説明してる。ヨーロッパの医学と死について総論的・エピソード的にまとめた一冊と言えよう。その点では少し物足りなかった。
しかし非常に面白い本。きちんと現代の医学に裏打ちされた内容だから、読んでいて納得させられる。
「地味だが興味深い、充実した内容の本」 おすすめ度:
投稿日:2005-07-11
先生の著作を読むのは、学術論文を別にして数冊目である。岩波新書の「神経内科」「脳と神経内科」は私にとって身近すぎたし、中公新書「ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足」は、内容に水増しが感じられてあまり感心しなかった。それに比べて本書は非常に地味な題名で、つい最近まで出版されたことすら気づかなかったのであるが、興味深く、内容も濃い。私が読んだうちではもっとも完成度の高い作品である。
今は神格化されて語られるローマ法王(教皇)も、昔は暴君だったり策士だったり卑劣漢だったり、要するに世俗にまみれた政治家に過ぎない時代が長くあった。歴史に残る彼等の死因にからめて話が進むが、むしろ本書は、神秘のベールの向こうにあった聖職者たちの赤裸々な列伝、と言った方が適切である。そのギャップが我々凡夫の興味を引くのであろう。大変明快な文章であり、最後まで苦もなく読めた。医学に興味がない人にも、読み物としてお勧めである。
「ヴァティカンやヨーロッパ史が身近になる!」 おすすめ度:
投稿日:2005-04-22
筆者は医学者です。興味の発端は医学的なものだったようですし題名も「検死録」なんてとっつきにくそうですが、中身ははとてもわかりやすくおもしろい。「えぇっ!そうなの!?」と思えるヴァティカンの歴史満載です。とてもドラマティック。ヨーロッパの歴史が好きな人にはおすすめです。ボルジア家やらペストやらコロンブスやら次々登場して、まさに筆者の言う「知的アバンチュール」的な1冊です。